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「君の名前はなんて言ったかな……。そう、バン・ネオンだったかな」
そんなことを口からだすと彼はぼんやりという。
「君は油断をしすぎる。そして感情が豊かだ。そんな物、戦場には必要ない」
まるで見てきたかのような口ぶり。
それがまたネオンの心をいらだたせる。
知った風な口を、と。
「実に君はヤスイ。安い人間だし易い人間だ。故に軽い。結果にこだわらなければならないのに、過程に熱を入れる余りにそれが結果となってしまうようだ」
分からない。解せない。リオンの口から放たれる言葉の一つ一つが、初めて聞くような言葉だ。
何処かの小説の言葉のようだ。
敵の口から放たれる言葉など深慮する暇など無く、ひたすらに攻撃を続ける。
風、水、地、火。その全ての簡単な魔法を組み合わせて使う。
ファイやワルキは間違いなく苦戦する相手だ。それぞれに特化するわけでなく、全体的に使いこなす事が出来る、オールラウンダー。
カレナと似た風なタイプだ。
彼女と比べるには年季が足りないが。
「方法や過程なんて所詮はくだらないんだ。現に君は俺を倒そうと努力をしている。今まで自分のしてきた事を全て出し切らなければ、風纏いを突破するのは難しいだろうね。何せあの先生の攻撃を避けるんだから」
すいすいと地面から出てくる氷柱を避けながら、言葉はなおも続く。
「そして俺は君の今まで積み重ねてきたもの全てを打ち砕く。努力は愚か、才能すらないただの落ちこぼれの人間に敗北して」
そのときのリオンの表情がしばらく頭から離れそうに無いだろう。
これまで見せたことの無いニタァという狂気染みた笑み。
憎しみでもなんでもなく、只の不器用な笑い方。愉しみだと言わんばかりの笑み。
背筋に言い様のない寒気が走る。
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