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もし企んでいるとしたら、ファイがとめるか、彼に何らかの動きがあるはず。
それが何よりの証拠だ。
それにリオンに対してファイは敬語を使っている。
学校にいる間は違うのに。
「リオンは私の本名はおろか、姉達の名前も知っていたわ。この間の調子だと、ウルドだけじゃなくてベルダンディの事も知っているみたいね」
そこでクルドはふと思い出してしまった。
ベルの体を易々と吹き飛ばすリオンの姿を。
「そうよ……どうしてあの時気づかなかったの」
驚愕の表情を浮かべるクルドに委員長もまた、驚いた表情になってしまう。
「ベルの防御魔法は誰にも敗れはしない。私でも難しいのに、リオンは平然とダメージを与えていた……」
「もしかしてベルっていう女性がベルダンディなの?」
「普通なら近接、特に掌打の類では体を吹き飛ばす事は不可能に近い。なのに、軽々と吹き飛ばしたなんて」
そうだ。そんな事はありえないんだ。
普通の学生、特に高校生程度の実力で吹き飛ばせる訳が無い。
圧倒的な防御力。
それは今を守る盾としての意味を持つ。
まぁそんな事を知っているのはリオンたちくらいだろう。
現にクルドも、その意味にいまだ気づいていない。
「そうよ。どうして今までこのことに気がつかなかったのかしら。彼は面と向かって戦うタイプじゃないと言った。なのに、どうしてベルダンディーの体を吹き飛ばす事が出来たの? 私に負けたのはわざと? 何故、そんな事をしなきゃいけなかった? あの空間は私達以外いなかった。にも関わらず、彼は何かを隠した。それは一体?」
口から次々と疑問符があふれ出してくる。
とめどなく生まれる謎に彼女もまたさいなまれてしまう。
まるでそれは委員長のように。けれど、彼女とは異なる。
うなされる様に呟き続け、それを遮るものが現れた。
「その疑問に回答するのはあなた方自身ですよ。ねぇ、スクルド」
名前を呼ばれた途端、火の粉を散らしフランベルジェが声の喉を捉える。
「あらあら、中々活発だ事。だけれど、少し血の気が多すぎるわ」
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