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中には彼の事を本当の天使や、神様だなんて言って、崇め奉る人まで出ている。
確かに、敗戦必至であった十五年前の戦争をたった一人で、戦況をひっくり返したのだ。
そんな風に思われても仕方がないだろう。
「崩天のルシフェルの弟子で何が悪い。実際に流派で言うのなら、同じなんだから問題ないだろ」
リオンは口を尖らせて、不服そうにそう言う。
不服も不服。それで、完璧に誤魔化せているのだから、何の問題があるというのだ。
それで正体がばれていないのだから一切、問題が無いだろう。
「ですがねぇ。それで誤魔化せるかどうかの人物がいるんですよ?」
「……委員長か」
うんざりしたようにリオンはその人物の肩書を言った。
「そうですよ。まったく、彼女はしつこいですからね」
「あれはもう、放って置く事にした。面倒臭い」
「面倒、って。貴方がまいた種でしょう。自分で何とかしてくださいよ」
あからさまにいやそうな表情をするリオン。
余程相手をするのが嫌なのだろう。
「どうでも構わないが、ファイ。今は何時だ?」
話しを逸らす為に少年――ファイに尋ねる。
「今は何時って……」
やれやれと時計を確認する。
その瞬間に、彼は硬直する。
「あぁぁあああぁああぁぁぁぁぁあ! もう授業が終わるぅぅぅぅぅ!」
チャイムが鳴るまで後、五分程度。
「じゃ、御苦労さま」
そう言って、リオンはそのままその場から立ち去ろうとする。
だが、背を向けた彼の制服の襟をしっかりと掴んで離さない。
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