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取り合えずこれ以上リオンと関わっていると、自分達まで変人扱いされる可能性があるので、その場に放置する事にした。
「さー帰ろ帰ろ」
「無駄な時間だったわね」
「まぁ、俺はあそこに行けただけでよかったけどな」
「私もです。ありがとうございます、ファイ様、お嬢様」
「もともと、棚から牡丹餅のような話だったものね。気にしないで良いわ」
「そうそう、食事は大勢でとった方がおいしいって言うしな」
気楽にそんな会話を繰り広げながら、帰路につく四人。
たった一人だけ、何故か名残惜しそうに立ち止まって、リオンの方を眺めていたのは、委員長だ。
彼女の視界に入っているのは、みっともない姿のリオン唯一人。
だと言うのに、彼女の心を支配していたのは、もっと別の感情。
いや、恋だとかそう言った甘い感情では無い。
言い知れぬ感情なのだ。
何処か彼の姿に違和を感じたのかもしれない。
おかしな感情は虚空に捨てた方が正しい。
そう判断した彼女は、すぐに四人の後を追った。
それが、本当に正しかったのかどうかは分からない。
この時に委員長が彼の本質に近づいていたのか、それともただの勘だったのか。
それを決める事がいずれ来る事になる。
それがいつになるのかは定かではないが。
所で、彼らはもう一つ大きな命題を忘れている。
余りにリオンが馬鹿馬鹿しすぎたのだろう。
とうとう、クルドの事に関して聞くのを忘れてしまった。
まったく話を上手に逸らすのが上手いというか、なんというか。
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