序曲

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――――― 何処かの部屋。何処かの場所。誰とも分からない人間が其処にいた。 彼らは何を目的としているのかは一切を持って不明。そもそも、何故こんな所に集まっているのか、それそのものが謎である。 彼らが目の前にしているのは巨大な十字架。それには六枚の翼が。 ここは教会なのか、と問われたら答えはNOだ。 当然、教会で無い以上、彼らがお祈りをなんてものをする為に来たわけでない。 皆一様に剣を銃を持ち、黒い翼の刺繍が入ったマントを羽織っている。 不気味な沈黙が支配する中、一人の男性と思われる人物が中央にある巨大な十字架の前まで歩み出てきた。 黒い、コート。白い翼。 コツコツ、と踵が床を叩く音が染み渡る。全員の瞳が彼の一挙一動に集まっている。 やがて、その歩みを止めると目深に被ったフードの下から覗く口を開いた。 「諸君、良く集まってくれた」 その一言に、人々は歓喜した。だけれども誰一人として声を上げるものはいない。彼の言葉は、神の言葉。故に口などあってはならないのだ。 けれども瞳だけは少年のように輝かせている。 なんとも言い難い狂信的な光景だ。 「とうとうこの私が立ち上がる時が来たのだ」 そうして彼の言葉が続いていく。 その言葉が意味するもの。そして彼は何者なのだろうか。 歯車がまた、噛み合った。 決して狂わない歯車がまた一つ。
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