幕間

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予選リーグを何一つ苦戦する事無く、勝ち進んだ五人。 途中、少々予想外に手間取る一面もあったが、事実とは小説よりも奇なるもの。奇想天外な戦術で攻めてくる人間もいたが、大概は自滅して終わっていた。 練習も何もしていない、奇抜なその場限りの策が上手くいくわけも無い。 そんなものは戦略家の領分だ。 奇抜なアイデアと瞬間的な判断能力。 尤も、後者にいたっては前線で戦うものにも必要とされるものであるが、意味を履き違えているのだろう。 同様に、委員長率いるチームも、無事にトップの戦績で予選を通過する事に成功した。 主にクルドの功績が大きい。 何せ、彼女は圧倒的な火の魔法で敵を瞬時に焼き払っていくのだから。 彼女と対峙した生徒達は口をそろえて一様に言う。 本当に灰になるのかと思った、と。 本来、それくらいの臨場感があってしかるべきなのだが、ブローチの影響か、ゲーム感覚でいる生徒が多い。 当然、ファイやワルキも言わずもがなリオンもゲーム感覚だ。 命のかかっていない戦いなんて所詮はゲームに過ぎないから。 単なるサバイバルゲームだ。 そんな彼らが、一様に言うのだ。 本当に殺されたのかと思ったと。 それほどまでクルドの実力は圧倒的であった。 挙句の果てには上級生にカバーされてしまうほどに。 リオンにとってはいい隠れ蓑となったわけであるが。 一度きりの奇跡を覆い隠すほどの当たり前があったのだから。 上級生に目をつけられる、と言う意味ではファイ達も同じだが。 まさか予選リーグを一敗もしていないのに、上級生に目をつけられないなんて、誰が思うだろうか。 それにチームの中にいるのは、英雄の子供とギルドランクA。警戒して当然だ。
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