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ここに来てカレナが口を挟んだ。
余りの事に自分が崩天のルシフェル本人ではなく、その弟子であるという設定を完全に忘れていたのだった。
「あ、いやそのな。あの人、人前に出るのを嫌うんだよ。とことん」
「でもこの間、来たわよね」
「そ、そんな事あったのか」
「ええ、確かジェンをじきじきに迎えに来たのは良いけれど、そのまま何処かへ消えてしまったわ」
「いつもの事だな。あの人は俺に仕事を任せているから」
「だからアンタが来た後にあの人はいなくなったのね」
「あの人自分は仕事しなくなったからねー。俺に丸投げしているのだよ。ま、後進を育てるのもリッパな仕事のひとつだって事さね」
「それで、あの人は表舞台から姿を消すと」
「だろうね。面倒くさくなったんだってさ。人間の浅ましさに。ま、色々と事情があるみたいだからしばらくはこの国に住むみたいだけれど。そのうち王国作ったりしてなー」
ありもしない冗談を口にする。
自分で国を作るなんて面倒くさいことを何故わざわざしなければならないのだ。
五百年前だけで十二分だ。それに面倒くさいのだ、王国というのは色々と。
「あの人の事だからありえそうね……そんな噂も流れているし」
「神聖ルシフェル帝国でも作るってか?」
けたけたとワルキが笑う。みょうちくりんな名前だ、と。
「そんな変な名前にすると思うか? あの人ならもっと変な名前をつけそうだよ」
げらげらと他愛の無い雑談で盛り上がる。
無意味な妄想で遊ぶのもこの年頃にはありがちなことだろう。
ここで頭が痛くなるのはリオンだけであるが。
結局、明日の開会式のことなど、頭の中から消しとんでそのまま夜遅くまでパーティーは続くのであった。
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