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当然、学生諸君も言うに及ばず、リオン自身もそういった感覚なのだ。
生徒一同悔いの無い戦いをなんて。愉快痛快。全く以て臍で茶を沸かす話。
これの成績で、進路が決定する生徒もいる。そんなもので後悔しない事なんて勝利者の思考だ。
そもそも敗北は死。この世に未練が有る限り、悔いは残り続ける。
努力とかけて後悔ととく、その心は……
(どちらも過去の出来事です、ってねぇ)
欠伸を噛み殺しながら、リオンは一人遊びをする。
そんな師匠を余所に、ファイは選手宣誓を口にしている、生徒会長を眺めていた。
実の所を言うと、なかなか生徒会長の事は尊敬しているファイ。
全校集会など、集まりごとの際にはきちんとした発言をするし、教師連中に歯向かいもする。
「宣誓、我々生徒一同は日頃の訓練の成果を十二分に発揮し、無能な豚共の肉など食い千切ってやる事を宣言してやろうではないか諸君!」
彼女のその言葉に沸き立つ生徒一同。普段から学園の経営陣には腸が煮えくり返る思いを抱いている生徒たちがそんな感情を抱かないわけが無い。
主に、学食や施設の拡張についてだが。
というよりも、この学校が妙な所に金を費やしすぎているのが問題なのだ。
そもそもあんな椅子一つ用意するのにも結構な金をかけているのだ。
現状でも問題ないのだが、これ以上に設備を完全に整備し、拡張するだけの資金があるはずだ。
所が実際は設備の一部はボロボロのまま、新規の設備は一切無い状態だ。
ならその金は一体何処へ消えているのか、生徒たちの長年の疑問である。
ファイもそれに混ざって歓声を上げる。
この位の盛り上がりが無くては面白みにかけるじゃないか。
明確な悪がいて、自分達は正義。
きっとリオンならこういうのだろう。「茶番だ」と。
続いて来賓の紹介に入る。
一人ずつ、一言添えて礼をしていく。
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