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式は終了し、誰もいなくなった通路を一人の男女が並んで歩く。
一人はフードを目深に被った黒衣の男性、一人は仮面をつけた女性。
崩天のルシフェルと、その従者らしき女性だった。
そして二人に声をかける人物が一人。
「戯れが過ぎるな、シェーン」
壁にもたれかかりながら、彼は問いかけた。
崩天のルシフェルと同じ、黒衣に身を纏った男。ただ、違うのはその雰囲気だ。
「元々、君がこんな事を始めたのがよくないんだが」
「そうですわ。全く、アンタって奴は昔っからかわんねぇんだからよぉ」
二人はその素顔を晒しながら、それぞれの言葉を口にした。
「やはり貴様らだったか。大方、俺がこの式典に参加させる為にはどうすれば良いか、相談されたんだろ」
「おや、良く分かったね。たまには公式の場に出たほうが良いと、心配していたのだよ。無論、僕もね」
「どの口がそれをいうかい。形式上はファイが一番弟子だが、お前達が本当の弟子のようなものだというのに」
「おや、クロノ達は頭数に入れないのか?」
「息子をわざわざ頭数に入れる親が何処にいる」
鼻で笑いながらリオンはそういってやる。
事実、あの二人は自分の子供として育てたつもりだった。それが彼なりの教育のつもりだったのだろう。
それが裏目に出てしまったのだが。
「ったく、てめぇは相変わらず奇妙な化けモンだよ。初めて会った時からずっと」
面白くなさそうに鼻で笑いながら女性は言う。
「全く、人前で無いといってもそんなことをして良いのか」
「あらあら、うふふ。別に構わねぇよ。もう慣れたんだよ、使い分けって奴をな」
「底意地の悪さは変わってないがな。お前にそっくりだよ、娘は」
「あ? 一応これでもお淑やか、って奴に育ててきたつもりだが?」
「それを窮屈な世界と感じる時点でそっくりだってんだよ。なんだかんだ言っても、親子って事だ」
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