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その所為で色々と周囲の人間に迷惑をかけてしまうところまでも。
「おかしいねぇ。この口調なんてあの子に一度として見せたこと無いってのに」
「夜の会話でも聞いていたんじゃないか?」
「ばッ! お前、そんなの誰も聞いていないはずだろ!」
「寝静まった後にやっていたからか? それよりも二人目が生まれなかったのが不思議だな」
「眉間にも一つ目玉つけてやろうか糞野郎!」
顔を真っ赤にしてナイフを突き立てる。
思ったよりも照れ屋な一面もあるらしい。
思ったよりも可愛らしいではないか。
「そういきり立つな。美人が台無しだぞ。全く。貴様がそれをいつまでも直せないのが宜しくないんだよ」
溜息をはきながらそんな事を言うリオン。生まれと育ちが違うとは言っても、中々癖というものは抜けないものだ。
何せ貴族でない、なんでもない只の平民所か物乞いの生まれ。
人を疑い、略奪する罪人だった。
彼女と出会った事がシェーンに良い影響を与えたのだろう。
王としての覚悟というものを知ったのだろう。
「構いはしないが、な。戯れは大概にしてくれ。俺が勝たなくてはいけない理由が出来てしまったじゃないか」
「今度からは気をつけるよ。尤も、これも君のためを思っての行動なのだから、許して欲しいものだ」
消えていくリオンの姿を見ながらシェーンはそういった。
どうやら消えながら帰るのが最近のお気に入りのようだ。
なんとも妙な趣味だ。
というか、漫画に影響されすぎである。
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