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本当にいろんなものに影響をされながら自己を確立させていっている。
十数年前には笑顔なんて子供の前でしか見せたことが無かったのに。
それどころか、親子で魔法実習をしようものなら、絶対級魔法を使いかけて騒動したのだ。
悪戯好きなのか、それとも単純に格のの違いを見せたいだけなのか。
「相変わらずで安心したのか、なんともいえないな」
「変わったようだがな」
「そうかい? 僕にはかわっていないように見えたよ。ただ、少し嬉しそうだったけどね」
シェーンは崩天がいなくなった方向を眺めながら、そんな事を言う。
一人の王として、彼という存在を従わせてみたいものだが、生憎と、彼はきっとそんなことはしないだろう。
あの時だって、王という肩書きでなく、子供の友人ということで力添えを貰ったのだ。
きっと自分は王に相応しくないのだろう。
けれど、王となるだけの覚悟はあった。
全ての罪を背負い、全ての呪詛をその一身に受ける覚悟があった。
あいつらはそれが相応しくなかった。だから、変わったのだ。自分達で。変えたのだ。
その為に血が流れた。それを正しいとはいえない。
けれどそれを自分達が正しくするんだ、と意気込んだけれど。
結果はこの様。友人一人守ることも出来ないで、挙句には自分の国を滅ぼしかけてしまった。
今となっては、過去の出来事だ。変える事はできないから。
未来を創る。きっと、憎しみが無くなるように。
良い理由が、無かったとしても。信じるべき道理が無かったとしても。
愛するもの達の為に。
人の為でなく、自分の為に。
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