行進曲

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人間は余りに愚かだ。 神の庇護にあやかりたいと願いながらも、自由でいたいと思う。 鳥かごの中にいる事を自由と呼ばないのであれば、鳥かごが広がっただけの事を自由と呼ぶ彼らは朝三暮四という言葉を知ると良い。 結局は変わらない。 過程にこだわる人間がいる。 けれど結果がこれでは意味が無い。 それを美しいと呼ぶ。 人間はそういう生き物らしい。 籠を変えただけで、満足してしまう程度の生物なのだ。 それが何であるのかは個人の解釈によるが。 学校という籠、社会という籠、家族という籠、籠をわずらわしいと感じる人間は多い。 けれど籠の中にいなければ人間は無力だ。それを自覚した人間と、無自覚の人間の差なんて、気力の有無で大体分かる。 そんな程度の話だ。尤も、二分の一に絞り込める程度だが。 「さて。じゃ、そろそろいーかね? 私にもハレの舞台ってのを用意させてもらって」 一人呟くと、魔力を解放する。 それだけで響き渡る振動。音など無い。けれど、確かに感じる振動。 この国を取り巻く歪んだ歯車。それはいずれ狂わせ、正しくなる。 それに興味など無い。 ただ、子供達はそれを由としないだろう。その為に、見なくてはならない。 なおも立ち向かうものがいるのかを。そして覆い隠された者を。
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