行進曲

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「コールサインを決めよう」 そういったのは単なる気紛れだった。コールサイン、なんて大それた代物、只の学生に必要は無い。 ましてやゲーム風情になんて。 「そんなもの必要ないわ。別に部隊がいくつもあるわけじゃないでしょ?」 こういったのはカレナだった。 彼女の意見は正しい。ファイにとっても、これは必要ではないと感じていた。 何も戦争をするわけじゃない。 こんなものにそんなものが必要なんて、思えるわけが無い。 「俺も同感ですね。貴方は少しおふざけが過ぎますよ」 別に良いじゃないですか優勝チームと戦う程度、と付け足した。 「それが問題だ。あの人はとことん、自分の気に入った仕事以外手をつけないからな。結局俺につけが回ってくる」 「だとしても、一緒の事じゃないですか。別に学生程度に負ける貴方ではないでしょう?」 「負ける? 誰に言っているんだ。問題は其処じゃない。見られるという事に問題がある」 「どういうことです?」 「お前達は、どうして俺が本気を出していなかったのか、気にならないのか?」 「ただふざけていただけでしょう」 「そう感じていただろうが、半分は違う。この力が露見するのは宜しくないんだ。後進なんて、不特定多数育てるものじゃあない」 「何を言っているんだよリオン。お前らしくなく真面目だな、おい」 ワルキはそう茶化そうとする。 リオンの纏っている雰囲気がいつもと違う事に、誰よりも先に気がついたのだ。 「お前は、もし俺が何人もいて、勝てるか?」 まっすぐな視線に射抜かれる。 「たとえ、俺という存在の能力の一長所を一人持っていた所で、お前達は確実に苦戦するだろうな」 力、速度、魔力、技、どれをとっても勝ち目は低い。 その力を抑える等不可能で、その速度を捉える事は難しく、その魔力を封じる事は易くなく、その技の前に全ては無力となる。 矛盾、それが一つとなってしまう事が、どれだけ恐ろしいのか理解しいる。 だからこそ、沈黙を以って返答するしかない。
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