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「だからこそ、俺たちは俺たちによって俺たちがもたらしたものを、破壊できるようにしなければならない」
この意味が理解出来ないうちは未熟だ、と。
「だからこそ、俺は勝たなくてはならない。後進などこれ以上育てる気なんて更々無いからな」
ファイにとってその言葉は以外だった。
これ以上の後進を育てる気は無い、詰まる所は自分達がこの力をどう扱うか、という事になる。
「たとえ、それが自分という力の一部をさらすことになったとしても」
初めて見せた勝利への執着。
それが彼にとってどれほどのものか、理解できない程ファイは付き合いが短いわけでも因縁が無いわけでもない。
自分の母親の事、未だに悔やんでいるのに。
「それじゃあ、コールサインでも決めるか」
「所でコールサインって何だ?」
「……今更その質問か?」
呆れながらリオンはそういう。
今更そんな質問が飛んでくるとは思わなかった。
三人もあきれ返っている。
「馬鹿は放っておいて、私達だけで決めましょう」
カレナはそんな事を言う。
「ここは無難にアルファとか?」
「もっと凝ったのでも良いな。たとえばメビウスとか」
「特殊部隊じゃあるまいし」
「ガルムとかは?」
「犬が唸っているみたい」
「グリューン」
「お腹がグリューン」
「ラーズグリーズとか」
「悪魔なの? 天使なのに?」
「ウォードッグ」
「戦う犬って……」
「ならマリーン」
「海を舞台にして戦う事があるのかしら」
「アンゲル」
「呼びやすいかしら?」
「ケルブ」
「そうね。そんな感じかしら?」
どう思う? とリオンに対して質問してみる。
「良いんじゃないか? 個人的にケルベロスとかフェンリルとかも好きだが」
同じ門番という意味を持つ言葉と、神を食い殺す獣。
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