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因みに実況は毎年放送部の部員が各教師をゲストに呼んで行っている。
実況と解説というのはいつの時代でも必要となるのだ。
実況だけでは面白くないのが事実。
解説がいて初めて内容がわかるというものだ。ときたま的外れも良い所が転がっているが。
とはいっても元軍人だとかが多かったりするこの学校で、そんな的外れなコメントをする人間がいる訳も無く。
大体は教師陣の思惑通りに動いてしまうのである。
「毎年のことだが、それだけ学年ごとの練度に差が有るという事だ」
隣でそうコメントしたのは担任だ。そして彼女は一拍の間の後に次の言葉を口にした。
「……尤も、今年の一年生は、何かと実力者が混ざっているみたいだがな」
「と言いますと?」
「今年は何かと事件が多かった。事件が多いのは毎年の事のように感じるが、今年はそれが集中して起きていたのが一年生だ」
「つまり、勝ち上がってきた一年生の中に何かしらの素質を持っている生徒がいると?」
「まだ確信は持てないけれどね。でも予選の結果を見る限りだと、とんでもない化物がいるかもしれないわ」
「予選の結果……? 確かに全勝しているチームは幾らか見られますけど。それは幾らでもいるじゃないですか」
これは当然のことながら競争だ。つまり勝てる相手と組みたがる。
そこで戦力に偏りが出るわけだ。
「確かにその通りだ。毎年の事だ。が、内容を見るとそうでもなかったりする。圧倒的な偏りが見て取れる。チームのエントリーが一度きりだったりとか、な」
「そんな程度ですか? まぁ、分からなくも無いですが……っと、ここでお待ちかねの第三試合の準備が整ったようです!」
実況の言葉と同時に両チームが試合会場に足を踏み入れる。
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