行進曲

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広く、そして相手の姿が見えるその空間。 会場にはまばらながら、観客の姿が、そして聞こえる歓声。 晴れの舞台が彼らの心を追い詰める。 「気負うな。聞くのは仲間の声。見るのは眼前の敵のみ」 表情はへらへらとしたまま、観客に向かって両手をぶんぶんと振りながら言う。 その口調は何処までも冷たく。 「さぁ、入場してきました一年生チーム! チーム名ケルブは、門番を意識してつけたらしいです。メンバーは……」 其処まで言って原稿に眼を落とした瞬間に実況の声が途切れる。 「なんと! なんとなんとなんとなんと! いつかは来ると思っていましたがまさかここで来ちゃいました! 英雄、暴風の魔人の一人息子! ファイ・クロノ・デルシオンだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 熱の入りようが半端じゃない。ここでまでもファイの肩書きは変わらない。 いつまで経ってもそれは彼の背中に纏わりつく。 「しかも彼は崩天のルシフェルの弟子として行動を共にする事で有名でもあります! 先生、たしかファイは貴女のクラスの生徒でしたね?」 「ああ、ファイは優秀な生徒だ。特別特出したような実力ではなかったのだが……めきめきと実力を上げてきた。というのもあの方が師事をしているというのなら納得の行く話しだが……」 「何か問題でも?」 「実を言うと一人の生徒が問題ありでな……そいつの面倒を見てもらっているんだ」 やれやれといった風にいう担任。一応本人が聞いているのだが。 聞く耳など持ち合わせても無いが。 「続きまして最年少ギルドランクA。一年生最強と謳われている女子生徒! カレナ・ケイル・ユエルアだ!」 一部の生徒から歓声が上がる。 その容姿も原因のひとつに上げられる。 その後ピアナとワルキの紹介が簡易的に済まされ、リオンの紹介へと移る。
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