行進曲

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そこにあったのは巨大な柱。 それは陽光を受けて輝き白い吐息を吐いている。 巨大な氷柱、とでも言うのだろうか。見ているだけで凍えそうなそれに、相手は囚われていた。 一人残らず、巨大な氷柱群の内部に飲み込まれてしまっていた。 五人の表情は驚愕のまま、文字通り凍りついている。 パチィン、とリオンが指を鳴らす。同時に氷柱が全て砕け内部にいた五人が、大気中に放り出される。 意識を失ったまま、五人の体は地面に墜ち、そしてそのままブローチが砕け散り姿が消える。 そして彼の周囲には誰もいなくなった。 自動的に鳴り響く試合終了の鐘の音。 その音が、余りに非情に虚しく聞こえた。 静寂に包まれる場内、その中で一番最初に言葉を発したのは他でもない、リオン自身だった。 「誰が落ちこぼれだって? 愉快だね、見る目が無いねェ。崩天の一番弟子ってのは、俺だ。お前達が落ちこぼれと呼称していた奴なんだよ」 嘲り、哄笑しながらリオンは続ける。 「隠し玉だって? 一番の隠し玉だよ、こいつがな。だからこそ、一網打尽に出来たんだ。いいだろう? 今、ここで明かす位は。彼らは残念だった、としか言いようが無いな。精々、考えなよ。神の果実をその手にする事を。なぁ、どんな気持ちだ? 見下していたはずの人間が、自分達のはるか天上にいた奴だと知って。さぁ、あがけ。もがけ。お前たちの憧れに近付いて見せな!」 咆哮にも似た言葉。それは今まで覆い隠してきた一つの嘘を、明かしたに過ぎないと言うのに。
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