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とはいっても、純粋な温度を吸収する魔法では無いので、外部からの熱にすぐさま負けてしまうのだが。
それでも一時の休息にしか過ぎず、一時間も経たないうちに熱気は戻ってくる。
そもそも、この部屋の気温を快適にするためにどれだけの魔力を消費しなければならないのだろうか。
ピンポイントで気温を氷点下まで下げることは可能でも、温度を維持するというのは非常に難しい。
どんな事に関しても、維持するという方が非常に難しいのだ。
それに、水魔法は下手すれば天井や壁、床が凝結した水滴で覆われる事になりかねない。
因みに、火属性魔法なら気温を下げることは簡単である。
ある程度の熱を吸収すればいいだけの話である。
これ程、クーラーに相応しい魔法も無いが。
熱を吸収する、熱を放出する作業と言うのは火属性魔法の基本中の基本。
熱操作が火属性の特徴とも言うべき代物だ。
まぁ、それを知っているのはリオン達位だが。
火属性は単純に炎を扱うものだと思っている事だろう。
因みにファイはこの魔法を使えば、気温が下がる事を知っているが、教室中の気温を下げるのは流石に魔力を消費しすぎるので、使っていない。
どちらにせよ、魔力を大量に消費するのには変わらない。
魔力効率や温度調整から言ったら、火属性の方が上であるという事は言うまでも無いが。
「あづい……」
汗の粒が光る顔で呻くように呟くファイ。
「そうだな、今日も暑いな」
対照的に涼しげな表情で言うリオン。
この教室内にいて、これだけ涼しげな表情をしているのはリオンだけだ。
誰もかれもが汗だくになっている中で、彼だけ汗一つかかずに授業を受けている。
「リオン様だけずるいですよ」
横目で涼しげに欠伸をしている師匠を見て、ファイは恨み言を吐く。
「そんな事を言われてもなぁ……」
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