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たった一つの事だって言うのに、その効果は絶大だった。
何せ、会場に居た人間全員が、沈黙しているのだから。これほどのサプライズがかつてあっただろうか。
十五年以上も昔、たった二人の学生がこの学校で行った事すらも容易に凌駕している。
再び訪れた沈黙。それを破るのは一人の少年だった。
今まで余りの出来事に頭の回転が追いついていなかったが、たった今事の重大さに気がついた。
「な……な……」
ふるふると握った拳を震わせながら、ファイは俯いたままうわごとのようにその一文字を吐き続け、そして――
「何やってんですかぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッッッッッ!」
腹の底からの咆哮と、超高速の飛び蹴りが彼からの贈り物だ。
「ヘブラヒッ!」
奇妙な言葉と同時にリオンの体が一瞬浮き上がり、その後に地面を転がっていく。
そこにはまだ先程リオンが砕いた氷のつぶてが残っている。
さぞかし痛いだろう。
うつ伏せになったままぴくぴくと腕を伸ばすリオン。
ボロッボロになってしまって、まぁなんとも痛々しい姿だ。
「ち、チョットは手加減というものを……」
「手加減? 貴方がそれを覚えてからしてあげます」
「十分手加減したじゃないかぁ。だって俺がやったらあんな玩具とか関係なく殺しちゃうんだよ」
「そんなことした日には捻り潰します」
「何を?」
「首と手と足と腰と頭を」
「何か一つ捻れないのが混ざってルゥ!?」
顔面にもう一発けりをお見舞い。
今度はえびぞりになりながら回転、頭頂部を氷のつぶてと地面に強打させる。血が流れた。
「大体今まで誰が必死になって隠してきたと思っているんですか? 分かりますか今までの苦労が」
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