行進曲

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彼女のファイアストリーム無効化させようと、上級生らしく上等な魔法を使用した。 周囲の地面を砕き、持ち上げ、彼女を押し潰そうとする。 発動されて、時間が経つ程強力になるのがファイアストーム。 もう、全てが手遅れだった。 岩石全てを溶解し、巻き上げる。 次の生徒は、首を断ち切られた。 その次の生徒は眉間を打ち抜かれて。 最後に残った一人は、恐怖の余りにその場でしりもちをつき、必死に距離をとろうとしている。 もう腰が抜けて立ち上がる事も出来ない彼は、顔面蒼白にして後ずさるしか出来ない。 「さよなら」 呟かれた言葉はその炎とは逆に、何処までも冷え切っていた。 これ以上逃げられないように足で踏みつけて、歪な剣を胸に突き立てた。 ブローチごと心臓を貫いたかのようにすら見えた。 凄惨たる有様だった。 リオンの時とは全く異なる沈黙が、会場を包んだ。 派手ではあった。リオンと比べると、それは華やかでなく、ただ見るものに恐怖を与えた。 地面に突き刺さったそれを抜き放つと、その手に小さなナイフの形の炎を作り出し、投げた。 それは防御しているはずの観客席のバリアを貫通して、リオンへと向う。 一切驚く事無く、彼はそれを人差し指と中指で掴む。 互いの視線が交差する。 無言のまま二人はにらみ合い、そしてリオンはその手に持つナイフを持ち直し、投げ返した。 それはクルドの足下に突き刺さり、魔法陣を作り出す。 そしてクルドは踵を返して、会場を後にした。 司会も誰もが言葉を失ったままだった。 当然、リオンも言葉を発さないままその場を離れる。
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