行進曲

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恐れ入った。 彼女の力を甘く見ていた。何せ最強と謳われるギルドメンバーの一人であるのだから、相応の力はあるのだろうと。 相応、何てものじゃなかった。 規格外すぎる。あの時見たリオンを完全に圧倒しているような感さえあった。 力任せ、という一面においてはリオンを上回っているというべきだ。 まず一撃目で相手の戦意を削ぎ、相手の焦燥を煽った。そして同時に発生するファイアストーム。それが更に彼らに焦燥を与え、正常な思考を奪う。 未来の女神なんてものじゃない、ただの恐怖そのもののようにすら感じた。 それに最後のあれは、宣戦布告。 お前の化けの皮をはがしてやる、という。 「どうかしたかしら」 彼女のそんな言葉さえ、恐怖の対象になる。 その表情はいつもの通り。何の変哲の無い表情だ。 「怖かったかしら」 無言のまま答えられない。 それが何よりの回答だ。 彼女はそれにすら無反応だった。 恐ろしい。自分に理解できないものが。自分に使えないものが。 力の果てにある孤独。 まるで全く異なる二人が、持っている共通点。 力を使う時の、あの目の奥にある闇。 「貴女はどうして強いの」 「貴女がつよいから」 答えになっていない、それが答えだった。 ――――――― 「――強すぎるな」 「君なら、簡単だろ」 「無茶言わないで」 「本気を出すのは、嫌?」 「それに意味が無いのなら」 ――――――― 「会長」 「ふむ、愉快だね。今年の一年生は」 「そうですね。些か異常な程かと」 「そうだな。彼らは異常だ。リオン・ヒルタレン、最強の一番目の弟子。姫君にすら見える、炎の使い手」 「手元の資料では、どちらも異常を示しておりませんが」 「だからこそ興味深い」 「そうですか」 「是非とも彼にお会いしてみたい。彼らを出し抜いても」
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