円舞曲

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そして次の試合。 今回の試合から、相手との位置関係は分からなくなる。 互いの姿が建物や様々なものによって隠されるためだ。 それに実況も、声援も届きはしない。 完全な戦場と化すのだ。 「秀才だけれど、戦闘はからっきしか。上手い事考えたね」 「なんの事です?」 「なんでもないさ。手はず通り、二人で行動しろ。俺は単独で十分だ」 「無茶しないでくださいね」 「さて、どうだろうな」 リオンはそういうと、そのまますぐに離れていった。 「それじゃあ、行くか」 ファイ達も移動を開始する。 程なくして、リオンが一人の生徒の位置を特定。その場所へ移動をする。 するとその生徒は逃げるように動きを変えた。 成程、有能な戦い方だ。最も強いと思われる相手を避けるのは当然だ。 それ以前に相手も自分の位置が特定されているという事だ。 「気をつけろ。動きは監視されている」 予め渡しておいた通信機で交信する。 「了解しました。お気をつけて」 「とはいっても小手調べはしないとな」 一人呟くと、別の相手に向って行動を開始する。 どうやら相手も似たような手段で交信しているらしい。動きが此方を避ける風に変わった。 「当然。むしろ好都合」 ふと彼は魔法を使う。 座標を指定し、すぐさま発動。 居場所が分かれば攻撃も出来るが面白くない。 「さて、遊び相手になってもらうよ。TINTIN」 「誰だそれは! ティン・ティンだ! THINTHIN!」 「どっちでも変わんないでしょ」 「大違いだよ! 何だよその卑猥な名前!」 「自分の名前ジャン」 「うっさい! お前は俺を怒らせた!」 「それが目的だったり。ま、いっか。変身」 いつの間にかジョーカーのカードを取り出して、放り投げる。 それは一直線にティンのほうへ向い、彼はそれを弾き返した。 「ウェルカム」 気楽に言う。戻ってきたジョーカーのカードから大きな黒いコートが現れる。 左右に腰から大きなスリットが入ったものだ。 ファイが見たら、またそんなわけの分からない衣装を、と言いそうだ。 「なんだそれ」 「なんとなくかっこいいだろ?」 「それで、どやってたたかうんだ」 「こうやってだよ」
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