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取り出したるは一枚のトランプ。
描かれたスートと数字はスペードの2。
それを頭上に放り投げると、指を一つ鳴らした。小気味の良い音が響くと同時に、一振りの剣が落ちてくる。
リオンはそれを手にすると切っ先を相手に向けて言う。
「ど? これなら面白いし良いハンデになると思わない?」
会場中がまたもどよめいた。
あんなもの、見たことも聞いたこともない。
つまりはトランプの枚数だけ、武器を取り出せると言うことだ。
リオンの武器――と言うよりも兵装と呼称した方が良いだろう――それは、武器召喚システムだ。
本人の要請、つまりはトランプを使用してそのスートとナンバーに対応した武器を呼び出す。
無論の事、同時に呼び出せる数に制限は無い。
好きなときに好きなだけ。
「さしずめ、絵柄と数字には何か意味があるんだろーなァ」
ティンがそうたずねると、リオンは口を歪めて言い放つ。
「当然。スートはそれが何の武器であるのかを示し、ナンバーは質を示している」
「今使ったの、スペードの2、だったな」
「ああ」
「成る程、スペードは剣に対応し、クラブは棍棒等の長物。ルージュは悩んだけど君の性格からして、ハートは遠距離武器、ダイヤは魔法系かな」
ハートは射抜く。ダイヤは装飾するもの。だから、こうなったのだろう。
「流石かね。全く。」
「2というナンバーは多分二番目に質が悪いか、それとも……」
「お察しの通り。最も質が良くないもの、だ」
カードの宣言制等を考えると、明らかに不利となる物ばかりだ。
「舐めやがって……」
憎々しげな表情をする彼に対して、涼しげな表情を崩さないリオン。
「当たり前だろ。でなけりゃ面白くもなんともないじゃないか」
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