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彼は苦笑しながらそう言った。
ゲームは楽しむもの。だからこそ彼は小手調べと言う言葉を使った。
「そうだろう? ヘイトくぅん?」
ティンではなく、その奥に居る筈の名前を呼んだ。
その途端に表情が変わる。相手にするなと指示があったのか。
「貴様は俺の力の中身を知りたがったんだろ? ゲームを行う上において、必要な情報だからな。普通ならこいつに知らせるなんてふざけた事すると思うか?」
嘲笑いながらリオンは剣を玩ぶ。
「こいつはゲームだ。俺も僅かばかりに本気を出したんだ。どうだい? ここらで君も本気ってもんを出したらどうなんだ」
ギルドランク史上最年少特Sランク取得者さん?
それを言った途端、相手の表情が変わった。
突如して響き渡る爆音。ティンが大地を蹴った音だ。
間違いなくそれはリオンの喉元を捉えたものだが、何事も無いかのように避けていた。
ティンの表情に油断も焦りも消えていた。
ただ目の前にある敵を倒す、獣の瞳をしていた。
「何処で知ったか知らねえが、覚悟をしてもらおう」
「君は実に馬鹿だなぁ。あの人の一番弟子をやってるのに、知らない訳がないだろ」
剣を片手に距離を取る。
ティンの武装は戦斧、ハルバードと呼称されるものようだ。
その先端は鋭く尖っている。
その重量故に軽々と取り扱うことが難しい筈のそれを使って、あれほどの速さだ。
名前の割りに実力はあるらしい。
リオンの握るスペードの2では不利だと思われる。
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