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その足を阻むように数発の魔法が飛んできた。
「僕の、トモダチに手を出さないで戴こう」
息も切々に、走ってきた少年。
仲間の危機に颯爽と現れた主人公、って言うのがぴったりだ。
「もう少し速く来れただろ。まったく、どの口が言うかね」
呆れた顔で、リオンは言った。
「……貴方は、何が目的で此処に来たんだ」
「愚問だねぇ。年相応に学校に来てるだけでしょ」
「なら同じだと僕も答えよう」
「お前と俺は似ているが違う。俺は楽しみを求めて、そしてお前は安息を求めて。なら、お前は選択を間違えている」
「……僕が望んだ事じゃない」
「そうか。だが今はそれで良いと、良かったと思っているんだろ?」
そのリオンの問いに、答えることが出来ないヘイト。
いや、その目の中には明白な意思が宿っていた。
「本気で来い。お前相手でお遊びなんて考えたくないからな」
しっかり教育してやるよ。リオンはそう言うと、新しいカードを取り出した。
其処に描かれていたスートとナンバーはスペードのJ。
「紅蓮抜刀」
轟炎と共に現れたのは普段、彼が私的に使用している刀、紅蓮だ。
「本気を出した、と言う事でいいのか?」
「ナンバーを見て言いなさいよ。この戯け」
「僕が本気を出さなかったら?」
「俺にこんな玩具なんて意味無いんだぜ」
「……覚悟は、出来ている?」
「その質問、そのまま返すよ。ヘイト・スタッカート、或いは黄昏の果て」
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