円舞曲

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二対一。 そんな状況をものともしてない女子生徒の気迫に背筋がゾクリとする。 とはいっても、そんな素振りをおくびも見せず、ファイは刀に灯す炎を強くする。 僅かに続いた膠着を崩したのは女子生徒だった。 流れるような動き。 (この動き、どこかで……) 流れるような動き、構え。あの戦術。 そして予備動作もなく、彼女は攻撃を加えてきた。 「水の、動き!」 とっさに防御をするファイ。 動きが止まった一瞬を見計らってワルキが攻撃を加えるが、体をしならせて回避する。 「……正直、やばいことに気がついた」 「どうしたよ」 「相性悪すぎ」 「はぁ?」 間の抜けた風にワルキはいうが、とうの本人はいたって真面目だ。 当然、魔法は属性だ。相克の関係が自然と生まれてきてしまう。 偶然の産物、といってもいいのかもしれない。 個人的な力量が当然ものをいうのだが、そこから先は単純な相性になる。 偶然といくつかの要素。 当然互いを打ち消す関係も持っている。 この世界に存在はしない五行思想、リオンは知っていたが、それに追従するものとなるだろう。 それに加えて戦術のスタイルが最悪だ。 単純にファイとワルキの戦術を剛として、相手の戦術は柔。 柔良く剛を制す、なんて当たり前の話だ。 事実、リオンの風纏いにはかなわなかった。 そんなことを考えている間にも相手の攻撃は次々と襲い掛かってくる。 滑らかな攻撃。 明らかに此方の退路を阻む攻撃だ。 反撃はすべて回避される位置にしか打てない。
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