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先程から言葉遣いを戻しているが、周囲の生徒はこの暑さに参っているので一々、会話にまで耳を傾ける人物はいない。
そんな事に使う集中力はすべて、授業を聞き取る事か、寝る事に使用されている。
「何処に矛盾があるというのだ。ちゃんとした正論じゃないか」
尖らせて反論する。この暑い中、よくもまぁここまで表情を変化させられるものだ。
「授業も訓練の一環です。ですから結局の所は、訓練を二度も行っているという事になるんです」
「よそはよそ、うちはうちみたいな論理じゃないか。それとは関係ない」
「では、どう関係しているというのですか」
「宿題だ」
「学校からしっかりと出されています」
「それは机の上でやる奴だろう。俺は実技の宿題だ」
「実技の宿題なんて聞いた事ありませんよ……」
うんざりした風に息を吐くしか無いファイ。
どれだけ抵抗した所でどの道、彼の宣言からは逃れられないのだ。
ファイは暑さの所為とも、リオンの所為ともつかない息を吐くと、また机にうなだれたのだった。
現在の彼に黒板をノートに書き写す為の気力は残っていない。
(いーや、後でカレナにでも見せて貰えば……)
そんな投げやりな考えを頭に浮かべながら、暑さとの戦闘に戻るのであった。
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