円舞曲

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今までヒットアンドアウェイ、斬り込んではまたすぐに離れていくと言うもの。 踏み込む度に発生する攻撃は一度のみ。 しかし、その瞬間の攻撃のみ、同時に全方位から攻撃が加えられたのだ。 幾つもの刃がヘイトの体を切り刻む。 「ガァァァッ!」 その衝撃に彼の体が吹き飛んでいく。地面を数度転がると、かろうじて体勢を立て直して停止。 全身のいたるところに切り傷をつけたその姿はあまりにも痛々しい。 「……ッ!」 「どうしたぃ? 本気のあんたの力を見たかったんだがねぇ」 ケタケタと哄笑しながら、リオンは言う。刀の背で肩を叩いて余裕をアピールしている。 どこまでもふざけた奴だ、なんてヘイトは思う。 初めてこいつを見たとき、体が震えた。力をセーブする事なく戦う事が出来る相手に、この学園で初めて巡り会えたのだ。 実際に相対してみて、実感した。その底知れない実力を。刃を交えて更に高揚した。その力の巨大さを。 そして今、ヘイトは恐怖している。 刃を向けられない、只の恐怖、いや単にそれは畏怖に近いものがあったのかもしれない。 才能と努力。 自分では到達できない都すら感じるほどの、圧倒的な壁。 崩天の弟子と言うのはここまでなのか。 「リオンって言ったね」 「如何にも」 ああ、もう理解した。 知らない内に手加減をしていただけだ。 「君なら、僕の名前の意味解るよね?」 その問いに。 リオンは。 微笑みで。 肯定した。
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