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割りと簡単に物を言ってくれるがギルドの楔はなかなかにきつい。
特にリオンがお目付け役ともなれば、早々逃げられはしないだろう。
何せ二十四時間監視がついているといっても過言ではない状態だ。
まともに相手をすると疲れてしまう。
しかしその鎖を引きちぎろうとしたことがあるとは……。
あの彼の装いからはとてもではないが、想像は出来ないだろう。
装いはあくまでも普通の生徒。
自分の力もきちんとコントロール出来ているのだから。普通の一般生徒にしか見えない。
彼の成績は中の下。筆記はそれなりの成績を収めているが、若干実技の成績が低迷している程度。
それでも、一般的に見れば普通の類だ。
特別何かが劣っているわけではない。リオンと違って。
リオンは勿論の事すべてが駄目駄目駄目駄目、駄目の駄目押しで来ているようなものだが。
実に馬鹿馬鹿しい。
単純に注目を浴びたいだけにしか思えないです。
そのくせ自分の正体がばれるのを嫌がっている。
つまらないからだとか関係ない。
態々面倒なことをやらかしてくれやがるという事だけはご勘弁願いたい。
くたばれ畜生。
自分の事を嘆きながら、上機嫌で帰っていくリオンを眺めるファイであった。
――――――――
「ごめん、負けた」
医務室で目を覚ました仲間に向かって、ヘイトはそう言った。
あの時、結局自分は自分自身を抑えることが出来なかった。
心音が、相手の姿が、自らの力だけが支配していた。
これが、お遊戯(ゲーム)だからよかった。
もし、これが本当の戦いだったら。
初めて出来た大切な仲間を、友人を、殺めてしまっていたのだろう。
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