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こんな状況、珍しくもない。
リオンがひとり呟いた。
何せ一人で一国を相手にしたことがあるようなものだ。
こんな状況で、もう動じるなんてあり得ないのだ。
「それじゃあ、此方からアプローチをかけるとしましょうか?」
そういうと、スペードスートから3を取り出してそれを装備する。
彼の手に握られていたのは、レイピアだった。
リオン本人はこの剣のことをそこまで気に入ってはいなかったらしい。
彼も手加減をしているらしい、ということだろうけれど。
「スートはそれでも低いままなんですね」
「いいだろ? いかに三年生でも俺から見たらただの子供だましだって」
リオンはそういうと、背後を横なぎに切った。
「……ッ!」
何かが、そこから動いた。
「うんうん。上出来上出来。それだけ避けてくれれば上出来実」
満足そうにそういうと彼はそのままレイピアを片手に笑った。
「敵ッ……いつの間に!」
ファイも刀を抜いて臨戦態勢に入る。
「ファイ、少し反応が遅いな。こいつが、ピアナを倒した奴だ」
リオンはこともなげにいう。
ピアナを倒した相手、という事はあのピアナを化かすほどの幻影使いであるということだ。
「成程、捨て駒としては間違えていないな。だが、手傷を負った人間一人で俺の実力を測りに来させるとは」
相手の生徒が何人にも分身する。
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