7442人が本棚に入れています
本棚に追加
/617ページ
杖での戦術は基本的に魔術を扱う上において必要なものである。
当然ではあるが、リオンの使用する杖も元来は、魔法を使用する上での補助となるものだ。
速度と手数が重視されている現代の魔法戦において、長距離系の魔法の精度など度外視される為、こういったアクセサリは廃れていった。
以前にも古風と評したことがあったが、本当に時代遅れの装備だ。
尤も今回リオンが使用するのは不殺のための意味合いが強い。それそのものに殺傷能力は無い、というわけではない。もちろん、思い切り頭を殴れば死ぬだろう。
尤も、加減さえ出来れば、不殺として扱う事も出来る。確認するまでもないが、属性付加の魔法等との相性は良好だ。
アンチマジックに相応しい、防御型の装備といったところだろうか。
その用途も、もう忘れ去られているが。
「俺に人質戦法とは考えたがね。生憎と人を殺さない手段も知っているのさ」
ファイがいたら亀の甲よりも年の功ですね、なんて言いそうな言葉だ。
くるくると手で杖を弄びながら、相対する。
その回転運動が停止したと同時に、杖が伸びる。
リオンの身長よりも短いそれは、それ以上に伸びてカレナの胸元に突き刺さろうとする。
この攻撃に対し、辛うじて反応して弾く事に成功した、カレナだったが、態勢を大きく崩してしまい、反撃ができない状態へと陥ってしまった。
「あっという間だな」
なんて言っている間に、リオンは彼女を追い込んでいった。
最初のコメントを投稿しよう!