7442人が本棚に入れています
本棚に追加
/617ページ
一人、愚痴を漏らした所で何も変わりはしない。
いや、人がいても何も変わりはしなかっただろうが。それに疑問を投げかける事も、同意をする事なんて誰も出来ないのだから。
尤も憧れた存在、その名前を受け継ぎたいと思ったほどに。
そうでありたいと願った。
「炎姫、キリエ」
彼女こそが、誰よりも気高く、女性として母として生きた人間だと言える。
そしてそれ故に、その命を散らしてしまった。
だからこそ、美しいのかもしれない。
一度だけ映像に残ったものを見たことがある。
桜花爛漫。まさにその言葉がふさわしい。
その技に、まず目を奪われ、そして心を射止められた。
それ程に美しい技だった。彼女も、その技も。
誰よりも彼女に近くなろうとして、誰よりも彼女に追いつこうとして。
少女は追い求めたのだから。
その力を。
「是非とも決闘に応じてもらいたいものだ」
その瞳は闘志に満ちていた。
もう、誰も、止められない。
冷たい炎は。
最初のコメントを投稿しよう!