歌劇

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リオンとクルドの戦いに、決着がついた頃、ファイと委員長の戦いも佳境を迎えていた。 「委員長、強すぎない? 一体何時、修業したっていうんだ」 よっと、なんてリオン顔負けの掛け声で、ファイはその刀を振るう。飛ばされる炎の刃。その色は白く、周囲に陽炎を残すだけとなっている。 その威力は一年生が容易に到達できるものでは到底ない。しかし、委員長は難なくそれを突き崩し、彼女は反撃をする。 「私はリオンのことが気になるだけ。どうしても、あのにやけ面の仮面を引っぺがしてもやりたいと思っているんだ」 「……あの人は崩天のルシフェルの弟子で、僕の兄弟子だよ」 「それだけじゃない。リオンは間違いなく何かを隠している。もっともっと、違う何かを隠している」 乙女の勘と言うやつか、リオンがまだ隠し事をしていることに気がついている彼女に、ファイは少しばかり辟易する。 彼女のその執念は、どこから来てるのか、今の彼に理解出来ない。理解出来るとは思えないし、理解する余裕もない。そんな事をしていては研ぎ澄まされた彼女の執念に、食い殺される。 激しく鋭い刺突を、ファイはいなし、防ぐ。 「僕は、君ほど強さに執着しているわけじゃない」 ファイは、目の前にいる委員長に向かって、そういった。 「私も同じだった。でもね、リオンの事を知りたいと思ったら、貴方以上の実力を持つ必要性があるんじゃないの?」 「いや、あの人、そんなんじゃないから」 冷静なファイの言葉だが、委員長は既にのぼせ上っているらしい。 レイピアによる、素早い刺突。防御ではなく、回避に重点を置いた戦術だ。相手の攻撃をいなし、回避し、そこからの相手の懐への鋭い攻撃。 「委員長、太陽に近づこうとした人間が最後どうなったか、知っているでしょ」 「知ってる。でも、あいつは太陽じゃないでしょ」 「太陽程度なら、どれだけ楽だったか」 うんざりした風にファイは答えた。 ふと、視界の端に白いものがちらついた。見覚えのある物、雪だ。それを見て、即座に判断する。 雪月花、初雪。リオンの……いや、ファイの母親であるキリエの技、奥義の一つ。 リオンがその模倣を行っている、それは即ち相手が敗北するということ。 「あの人に遅れてたまるか!」感情ごと吐露し、ファイは足に力を入れる。 範囲魔法、面攻撃を仕掛け、委員長から視界を奪う。
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