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――ただ、殺してきた。
それだけだ。殺して、殺して、殺して、殺して、ただ殺してきただけだった。
あの時から、ただそれだけの為だけに生きてきた。生きる、という感覚も、とうに無くなってきた。
ただ、存在している。殺すための存在。それがあの通り名だった。命を刈り取る者。
只、死という存在を定義するためだけに、存在し、今まで来た。
前に道はなく、その背に道もなく、ただ、その場所に立っているだけ。いや、立っているのかどうかも怪しい。
落ちているのかもしれない。ただ、落ちていく。
敬虔な宗教者の言葉を借りるのだとしたら、堕落して行っているのだろう。復讐という甘い甘い果実を、その手に取った瞬間から。落ちているのだろうか。
その延長線上に今がある。殺すことを止めた今は、妹が、娘が、望んだと思った所にいる。
娘の息子に、生きる手段と抗う手段を、教えている。
ただそれだけだ。学校、なんていう場所に、興味もない。
学校なんて、集団で学ばせ、その能力を均等に、均一に伸ばし、最低限のラインを到達させ、伸ばすためにある。
興味もない。生きたい奴が生き残るための手段を知るだけだ。種の繁栄など知ったことではない。
興味もない。こんな遊技も、その先にあるものは、何もない。
彼女の成しえなかった事、それを履行していくだけだ。
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