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よって真っ先に切り捨てるとしたら、ワルキを除いて他に誰かいるのだろうか?
出来る事なら、クルドを省きたいのだが、彼女に幻影の魔法が通用するとも思えない。
いや、リオンが本気を出せば無理な話では無いのだが。
それに、彼女自身も肩書や本名をを隠して学園に通っている身分。
余り目立つことはしたくないだろう。
まぁ、だからこそ無意味に他の生徒と関わらせて、その正体に気付かせてはならないのだが。
まったくもって厄介な人物を送り込んで来たものだと、リオンは溜息を吐く。
連中の思惑なんて目に見えている。
「やれやれ、出来るならこんな多い人数でやりたくないんだが」
リンと言う鈴の音と共に、黒猫が彼の足もとに現れる。
彼の使い魔、死神のヘルだ。
現在は黒猫の姿をしているが、人間の姿となった際には絶世の美女とその姿を変える。
その美しさたるや、まさに神々しいという表現が似合うだろう。
「ヘル、不可視及び防音」
黒猫に命じると、にゃぁんと鳴き声一つ。
その直後には彼らの周囲を不可視と防音の魔法が覆った。
「これで、俺も少し本気を出せるが……」
リオンが面倒臭そうにそう言った瞬間だった。
「なら、私はクルドとリオンの戦いが見てみたい」
カレナから、とんでもない提案が出て来たのは。
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