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「ここにいる人間すべては供物に捧げるといったのだ」
「そんな前時代的な発想を誰から教わったのやら。教えてほしいねぇ。少なくとも崩天がそんな事を言うわけないけどな」
「貴様があのお方を語るな」
「笑わせるなよ、羽虫にも劣るボウフラが。偽物に貰った力で遊びたいならどっか他所でやりな」
「羽虫に劣るだと? 地を這う蛇如きが大層な口をきく。唆し力を奪ったお前たちの言う事か」
「嗚呼……成程……そういう事か」
一人勝手に納得するリオン。
「これは俺のミスだな。お前達は……勝手に人を神様扱いするだけだと思っていたのだがな」
振り返ってファイたちに指示を出す。
「お前ら、この会場周辺に魔物が呼び出されている可能性が高い。こいつは俺が足止めしとくから、その対処だけを頼む」
「リオン様? 一体……」
「いいから早くしな」リオンはそういうと、刀を手に持つ。「お前が崩天の継承者を名乗るのなら、この刀くらいは知っているだろう」
「なんだその薄汚いかた」
男が言い終わる前に、首が飛んだ。
「たった一人の娘の形見だくそったれ」
忌々しげに彼はそういう。それを見たファイはすぐに他の三人を連れて外へ向かった。
その時のリオンは、一人にしておいた方が良いのだ。良くない事が起きる可能性がある。それだけを知っておけばいい。
そして、会場の外に出たとき、覆い隠さんばかりの魔物が其処にいた。
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