二学期の授業風景

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「ワルキは……どうでもいいわね」 カレナはちらりとワルキを見ると、そのまま無視する。 「何で! 俺だって気になるよ!」 「あー、はいはい。分かったから」 適当にあしらう。 面倒臭い事この上ないったらありゃしない。 「ピアナは……聞くまでも無いか」 一瞬聞こうかと思ったが、彼女の表情を見て、一瞬で理解した。 「お嬢様の思うままに」彼女は態度でそれを示していたのだ。 「じゃ、賛成多数と言う事で決定だね」 「ちょっと待て。俺の意見は何処言った」 「そんなもの、民主主義の前には塵と同じよ」 リオンの抗議もその一言で、ねじ伏せられる。 これぞ民主政治の弊害。少数の意見はあっという間に切り捨てられる。 例え、それがどれだけ正しくても。 まぁ、大衆にとっての「正義」なんてその程度のものである。 「それじゃ、やるからには真面目にやってね」 「これも運命と思って諦めて下さい」 「健闘を」 「やられちまえ!」 口々に思うままの言葉を話すと、四人は安全な所まで退避する。 「……面倒臭いなぁ」 リオンは目の前で、武器を取り出しているクルドを見て呟く。 何故、彼女がここまでやる気になっているのか、リオンには到底理解できない。 既に天上の存在となってしまっている彼には。 「所で、どっちが勝つと思う?」 離れたところから二人を見ているファイは、カレナにそう尋ねる。 くつろいでいるその姿はまさしく観客。 全く、いい御身分だ。 「そうね。私はクルドが勝つと思うわ」 彼女は末の女神を見て、そうコメントした。 「そりゃまたなんで」 「あいつが未だ、どれだけの実力を持っているのかは分からないけど、流石に三女神の一人には敵わないわ」 これは当り前の意見だろう。 ギルドランクSは、そう易々と誰にでもなれる代物では無い。 そもそもAとBでさえも、雲泥の差があるというのに、その更に上であるSランクが比較にならないほど強いのは当たり前だ。 ましてや、ギルド特Sクラスなんて天上の存在。 Aランク程度が束になってかかったところで、勝ち目などまったくないに等しい。 まぁ、夏休みの一件で、リオンの実力がSランクに相当する、と言う事は明白ではあるが、流石に年齢の差や積み重ねられた物の差と言うのもあるだろう。 当然、カレナはそれも考慮して、クルドが勝つと言ったのだろうが。
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