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カレナが気楽にそう言うと、ファイは口をとがらせる。
「何処が良いんだよ。あれだけあって、未だ一つしか覚え切れてないんだぞ?」
「気にしない気にしない。それよりも始まるみたいよ」
カレナの興味は、ファイからクルドに向けられたらしい。
やれやれ、移り気の早い事だ、と溜息を吐きながら、ファイもリオンの試合を観戦する。
「風天槍、招来」
十分に準備運動を済ませたリオンはそう声を出して、槍を取り出す。
「あれ、あんた刀はどうしたのよ」
カレナはリオンの取り出した武器を見て驚く。
何せ、リオンの武器は刀だとばかり思っていたのだ。
と言うよりも、彼がこの槍を一切使っていなかったので印象がやたらと薄いのだろう。
「おいおい、俺は刀も銃だって使うが、学校で作ったのはこいつだぜ?」
「……そう言えばそうだったわね。忘れていたわ。あんた、
いつも刀ばかり使っていたから」
その通りである。この槍を使用したのは、一学期の期末試験前、丁度担任との戦闘を行った時位だ。
普段は授業をサボっているし、よくもまぁこれで一学期赤点を一つもとらなかったものだ。
「いや、そりゃ刀の方が使い易いからに決まっているじゃないか」
「だったら、最初から変な誤魔化しをしないで、刀を使って下さい。というか、せめて普通の高校生らしく振る舞って下さい」
ぐさりとファイの小言がリオンの耳に突き刺さる。
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