二学期の授業風景

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彼女がその名を持っていたのは戦い方だ。 炎を使うと言うのに、その戦い方は冷酷非道。 一切のためらいも何もない。 殺す事に躊躇などしてはいけないのだが、それでもその戦い方はあまりに惨たらしいものだ。 命乞いなど当然聞く耳持たない。女子供、敵であるのなら、迷うことなく切り捨てる。 クルドは女性であるが、女性特有の母性なんてものは一切見せた事が無い。 殺戮こそが焼き尽くす事が、彼女の定義であった。 「行進曲」 先程とは全く違うその攻撃。 早さは眼で追える程度。 ただし、先程の即興曲が瞬間的に敵との距離を詰めるものに対して、これは攻撃の密度を上げるものだ。 突きを繰り出しながら前進。右に薙ぎとにかく突き進む。 攻撃の密度は言うまでも無く高く、速度は早い。 一撃一撃も先程の即興曲とは比較にならないほど重い筈だ。 重い筈なのだ。 カレナでは当然、さばききれない。 だと言うのに、クルドは易々といなしている。 金属音と火花をまき散らし、リオンの攻撃を一切受け流している。 当然、いくら鍛えているとは言っても、男子の腕力に女子が易々と受け止められる訳がない。 全ての力を流して、直接受け止める事はしない。「ぬるいわ」
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