二学期の授業風景

23/31
前へ
/617ページ
次へ
流石にこれ以上正体を怪しまれるような真似は許されない。 よりにもよって彼女に怪しまれるとなると、誤魔化すのが大変になる。 そもそも、誤魔化しが通用する訳も無いのだ。 「参った参った。流石にスクルドには勝てないな」 両手を上げて、降伏宣言をするリオン。 リオンとしては負けたくはない。負けたくはないのだが、流石に本気を出すのも宜しくない。 ただでさえ、動きづらいこの状況を、更に悪化させる訳にはいかない。 それに、強さの理由もさっさと説明した方がいいか。 「流石にお師匠様クラスになると、敵わないか。一般レベルはもう既に圧倒してるのに」 「まだ私には勝てないわ。筋は悪くないけれど」 「これで魔法が使えたら、少しはマシになっていたんだが」 剣を下ろしたクルドに向かって、快活に笑う。 「……貴方一体何者かしら。あれは崩天のルシフェルが使うとされている技だけれど」 冷や汗を流しているリオンに対して、息を切らすどころか汗すらもかいていない。 「そりゃ、お師匠様だからな。此処にいる奴ら以外誰にも言っていないが」 「……成程、貴方程度の若さでこの実力なのがようやく理解出来たわ」 崩天のルシフェルを師と仰ぐ、リオンに驚くそぶりも見せないクルド。 むしろ彼女のその態度にファイ達が驚いたくらいだ。 「驚かないのか?」 「驚く? 何をかしら」 「いや、俺があの人の弟子だってこと」 「別に。あの方も、人間でしょう。だったら弟子の一人くらいは取る筈よ」 「正確には弟子は一人じゃなくて、二人なんだがな」 「二人? 貴方の他にもう一人いるのかしら?」 今度こそ、少し目を見開いて驚いた表情を見せる。 流石に、二人も弟子をとるとは思ってみなかったのだろう。 本当はたった一人だけだが。 二人以上の弟子など、面倒くさいだけだ。
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7442人が本棚に入れています
本棚に追加