二学期の授業風景

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「本当だよ。弟子になったのはつい最近なんだけどな」 リオンはそう言って、ファイを見る。 その視線を読み取ったクルドはファイに目を向ける。 「……悪かったですね。俺が崩天のルシフェルの弟子で」 口を尖らせて、そう愚痴るファイ。 「そんな卑屈になるなよ。お前が弟子になったのは、この学校に入学してからだろうが」 苦笑してリオンはファイにそういう。 ファイとしては卑屈にもなりたくなるものだ。 ギルド最強の戦士に師事していると言うのに、実力はまったく伸びやしない。 何時か、追いつき追い越そうとすら考えていたカレナは未だ天上の存在。 全く、いつになれば彼女に追いつく事が出来るのだろうか。 尤も、カレナはカレナでいつファイに追いつかれるのか、気が気でないのだが。 「そりゃ、確かにそうですよ。そうですけど、まだ全然強くなれないじゃないですか」 溜息を吐きながら、リオンに向かって愚痴を吐くファイ。 「そりゃ当然だ。実力を上げるのに、近道なんて存在しないんだからな」 「師匠は殆どインチキをした様な気もしますけどね」 「おいおい、お……あの人だって、最初からあの力を持っていた訳じゃないんだぞ。相応の努力をした結果があれなんだからな」 「そうかもしれませんけど……あれは幾らなんでも」 「まぁ、言いたい気持ちはわからんでも無いが……確かにあれはおかしいからな」 本人がもっともらしく言わんで下さいと、口には出さず視線で訴える。 何せ、死なない、魔力は尽きない、剣術は最強、なんてありえないだろう。 それに、最強の魔法――魔法と呼べるかどうか非常に怪しいが――を使う事が出来るのだ。 全く冗談じゃない。 物質が無に還るなんて。 いや、形がなくなるだけだろうか。 どちらにしても、インチキに等しい。
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