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無属性魔法と言えば、誰にでも使えるが、誰もが使わない魔法だ。
形状は一種類のみ、魔力消費も他属性の魔法と比べると、随分と多い。
それでいて、攻撃力もたかが知れている。
そんな魔法が、崩天のルシフェルだけが使える特別なものがあると聞いて、カレナが興味を示さない訳がない。
強く、まだまだ強くなりたいのだから。
カレナの、爛々と輝く瞳を見てリオンは、さらに濁った瞳になる。
濁った、光が感じられない瞳に。
「この魔法は門外不出。一子相伝と言う訳でも無い。お師匠様が墓まで持って行くと言っている。無論、誰にも教える気はないそうだ」
「それでも、崩天のルシフェル様だけしか使えないのでしょう? だったら、それがどんなものかくらいは……」
食い下がるカレナ。
「それを俺の口からも、ファイの口からも言う事は赦されない。絶対に、だ。どうしても知りたいのなら、調べる事だ」
「……私は、知っている」
リオンが言い切った次の瞬間だった。
クルドの口が、はっきりと動いて、音を発したのは。
一同の視線が一気に彼女に集まる。
「クルド、本当?」
カレナが末の女神にそう尋ねる。
確かに、ギルドの幹部なのだから、崩天のルシフェルに関しての情報を知らない訳がない。
むしろ、一般の人たちと比べると詳しい程だろう。
クルドは一度リオンの顔をちらりと見ると、短く「ええ」と肯定して話し始める。
リオンとしては大誤算だ。
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