二学期の授業風景

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無属性魔法と言えば、誰にでも使えるが、誰もが使わない魔法だ。 形状は一種類のみ、魔力消費も他属性の魔法と比べると、随分と多い。 それでいて、攻撃力もたかが知れている。 そんな魔法が、崩天のルシフェルだけが使える特別なものがあると聞いて、カレナが興味を示さない訳がない。 強く、まだまだ強くなりたいのだから。 カレナの、爛々と輝く瞳を見てリオンは、さらに濁った瞳になる。 濁った、光が感じられない瞳に。 「この魔法は門外不出。一子相伝と言う訳でも無い。お師匠様が墓まで持って行くと言っている。無論、誰にも教える気はないそうだ」 「それでも、崩天のルシフェル様だけしか使えないのでしょう? だったら、それがどんなものかくらいは……」 食い下がるカレナ。 「それを俺の口からも、ファイの口からも言う事は赦されない。絶対に、だ。どうしても知りたいのなら、調べる事だ」 「……私は、知っている」 リオンが言い切った次の瞬間だった。 クルドの口が、はっきりと動いて、音を発したのは。 一同の視線が一気に彼女に集まる。 「クルド、本当?」 カレナが末の女神にそう尋ねる。 確かに、ギルドの幹部なのだから、崩天のルシフェルに関しての情報を知らない訳がない。 むしろ、一般の人たちと比べると詳しい程だろう。 クルドは一度リオンの顔をちらりと見ると、短く「ええ」と肯定して話し始める。 リオンとしては大誤算だ。
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