二学期の授業風景

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基本的な無属性魔法は、ワルキの言った通り魔力の塊にすぎない。 所詮はその程度。 その会話を黙って聞いているだけのリオン。 彼らの話は所詮学生の他愛のない会話にすぎない。 「リオン様いいのですか?」 離れた場所から見ていたリオンに向かってファイは尋ねる。 「何がだ」 「勝手な推測が出来ていますけど」 「別に関係はないだろう。あれだって、所詮はお遊びのようなものだ」 「特殊な魔法でも、ですか?」 「今はもう忘れ去られた魔法だ。誰もわかる奴はいない」 「文献には残っているのでしょう?」 「それをひっくり返す奴なんていないさ。それをひっくり返せば、今の歴史の教科書が否定されるからな」 「五百年前の、あの大戦ですか」 「言うな。分かっている事だろう」 「ですが、このまま放置していてもよろしいんですか?」 「どちらの事だ」 「歴史ですよ。このまま誤った事を覚えられても……」 「そんなのもの俺にはもう関係ない」 言い切るリオン。その姿に影は一切ない。 完全に振り切った、という事なのだろう。 または、心に新しい杭が打ち込まれたのだろうか。 「なんにしても所詮は憶測。核心に近づく事は無いさ」
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