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廊下を凄まじい速度で走るファイ。
全力疾走だ。魔法で速度をさらに上げている。
何せ、屋上から教室まではかなりの距離があるのだから、このくらいはしないといけないのだ。
現在の彼らの速度は、おおよそ時速四十キロ。
マラソン選手もビックリの速度である。
これでも速度は抑えている方だ。
本気を出したら、時速五十キロは下らない。魔法を使用すれば当り前の速度ではあるが。
「熱い熱い! 摩擦が摩擦熱が!」
「煩いです! 少し黙って下さい!」
「ちょっ、せめてもう少し持ち上げて!」
リオンは疾走するファイに向かって懇願する。
先程から壁にぶつかったり、床を引き摺られたりと、やたらと体にダメージが蓄積する。
「そんなの自分で何とかしてください!」
最優先事項は教室にいち早くたどり着く事であるファイは、リオンの事など気にする暇もない。
それに、リオンなら魔法で出来ない事はほとんどない。
「いやいや! 無理だから!」
「自業自得です!」
リオンに向かってそう言うとそれ以降、彼の言葉に付き合わなくなった。
リオンは、時折「ぎゃん」とか「ぐげっ」とか「あだだだだ」とか言っている。
壁に身体をぶつけたり、階段に体をぶつけた時に出る声だ。
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