二学期の授業風景

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リオンはそう言うと、また一つ欠伸をした。 クルドは脅威ではあるが、障害にはならないと判断したのだろう。 「じゃあな。俺はサボらせて貰うぞ。流石にクルドの相手は疲れた」 リオンはそう言うと、結界を解除しようとする。 「待ちなさい」 クルドは立ち去ろうとするリオンを呼び止めた。 「なんだい、スクルド」 「何故、本気を出していないの」 「本気なら出したさ。ただ、お前が本気を出していないのと同様にな」 「……」 無言のにらみ合いが続く。 「どういう事? 二人とも本気を出していなかったというの?」 カレナが睨み合いを続けている、二人に向かって問いかける。 今まで傍観していたワルキは戦慄する。 先程の眼では追えない戦闘も、二人にとっては本気を出していない代物だったというのだろうか。 自分では決して至る事が出来るとは思えない場所に居た二人でさえも、まだ本気を出していなかったと。 そう言う事なのだろうか。 先程の戦闘で天上の存在とはよく言ったものだ。 自分が考えていたよりも、まだまだ高い所に彼らはいるらしい。 (一生かかっても、追いつけないだろうな……) 比べてしまう事自体が愚かだと知っているのに、そう思ってしまうワルキ。 それによって自分がどれだけ矮小な存在か、分かってしまうと言うのに。 「……俺は面と向かって戦うタイプじゃ無い。それに魔法を主に使用するしな。お前もそうだろう?」 「……どこで、気づいた? いえ、知っていたのね」 確信を持って言い切る。
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