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それをわざわざ、何を思ったかは知らないがファイとリオンのような、事無かれ主義の人物と組もうだなんて、どうかしている。
ファイにくっついてリオンが来ると言う事は、戦力が一人減るのと同等だ。
全く、愛というものは恐ろしい。
只、傍に何時も居たいと、それだけを願うようになるのだから。
「まぁ、カレナが良いなら構わないけどねぇ……」
なんだかんだと言って、ファイ自身もカレナと一緒のチームで組む事が出来るというのは、やぶさかでもないので引き受ける。
「ほんと? ありがとう!」
ぱぁ、と満面の笑みでそう言うカレナ。
戦っている時の凛とした美しさなど微塵も無い。
あどけない少女のまま。
戦っている時の彼女の表情しか見たことのない、男子諸君では彼女のこの表情を拝む事は出来ないだろう。
これこそ、幼馴染だけに許された特権であり、ファイが好む彼女の表情だ。
あどけない少女、無垢で純粋な彼女の姿。
彼が見惚れてしまう表情の一つである。
彼女のこの表情を見るたびに、何故か頬が緩んでしまうのが分かる。
思わず抱き寄せて頭を撫でてみたくなるのを必死でこらえると、彼女は言った。
「それじゃあ、約束よ! 絶対だからね!」
カレナは言うとすぐさま何処かへと走り去っていった。
恐らく、どこか物陰に行って真っ赤になって身悶えでもしているのだろう。
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