面倒臭いだけのひと。

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本当に恋する乙女、夢見る乙女と言った所だ。 「おいおい、羨ましいねぇ」 その一部始終を見ていたワルキが、にやにやと笑いながらファイに近寄る。 一応、空気は読んでいたらしい。 「なんだよ。別に一緒のチームになる事が悪いってのか?」 ワルキの笑いにむすっとした表情でファイは答える。 「別に悪くはねぇけどさぁ。お前もそろそろ、告白したらどうなんだ?」 「煩いな。出来る訳無いだろ。まともに考えろ単細胞」 「なっ、単細胞とはひどいな」 「テストの点、いくつだった?」 「う……それとこれとは関係ないだろ!」 因みに散々だったのは言うまでも無い。 「そもそも、お前だって告白したらどうなんだ?」 「誰にだよ」 目をそらして誤魔化した心算でいるワルキ。 好きな事は明白であり、それをファイは一学期からずっと知っている。 「ピアナにだよ。お前だって告白していないじゃないか」 「五月蝿いな。仕方ねぇだろ。だって、ピアナはカレナの事しか頭にないし」 「まぁ、そりゃあの二人だから」 頬を掻きながらファイは言う。 確かに彼女はレズでは無いのかと思うくらい、カレナに付き従っている。 従順な犬、と言った方が正しいか。 それにしては毛並みの良すぎる犬ではあるが。 溜息を吐いて、少年は憂鬱そうに肩を落とす。 「少しは諦めていたのだが」
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