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「二学期のイベント、体育祭は……この学校にはなかったが、文化祭はどうするんだ?」
「文化祭、ねぇ」
文化祭と言えば、喫茶店などの模擬店が頭に浮かぶ。
中等部時代に何度か経験はしているが、あれはひどく面倒臭い代物だった。
と言っても、なんだかんだで楽しんでいたのだが。
「そう言えば、カレナはあの頃、女学院に行っていたんだよな」
「あれ? お前たちって、中学一緒だったんじゃないのか?」
当然二人があそこまで仲が良いと、そう思うのも無理はないだろう。
「いや、俺とあいつは初等部こそ一緒だったが、中等部は違うんだよ」
「そうなのか。はじめて知ったぞ。というか、このご時世で女学校って言ったら……」
「ああ、完璧なお嬢様学校だ」
「だよなぁ……」
「しかも通っていたのが、あの聖オラトリオ学院だからな」
「しかもよりによってあそこかよ……よくこの学校にこれたな……」
ワルキがそう思うのも無理はない。
聖オラトリオ学院と言えば、箱入りお嬢様達が通う学校として有名だ。
淑女としてのマナーを覚える為の学校。
当然、従者を連れてくる人物も多々いる為、当然従者が学ぶ場所もある。
因みに、清楚でおしとやかなイメージがあるが、実際は陰湿な虐めや桃色な会話で埋め尽くされていたりする。
ここ最近はファイに首ったけの為、カレナの男色癖が目立たないが、恐らく女学院に通っていた時についたのだろう。
……ファイ達からすれば、悪魔の巣窟に違いない。
「何を考えていたのか、俺にもよく分からないんだ。カレナが実力に拘っていたのは知っているけど、それが唐突に聖オラトリオ学院に行くんだもんな」
「案外、精神修行の一環とかだったりしてな」
「あー……あり得るな。あのカレナがあんな所で三年間も大人しく出来るとは思えないし」
額に手を当てて、そう言うファイ。
どうしても彼女が、優雅な微笑みを浮かべながら、
「ごきげんよう」
なんて言っている姿が想像できない。
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