面倒臭いだけのひと。

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時は流れて放課後。 太陽はようやくその灼熱の刃を鞘におさめようとしていた。 寮の自室へ帰ってきたファイは、今日もいつもと変わらず、真っ先にベッドへ寝転がった。 「うなぁ……今日も疲れたぜぇ……」 伸びを一つしながらそう愚痴る。 しかし、ピアナの観察眼には驚かされた。 全く、伊達や酔狂でカレナのメイドを務めてはいない、と言う事か。 しかし、あそこまで鋭いとなると、ワルキが彼女に対して好意を寄せている事に気付いているかもしれない。 もしそうだとするのなら、これは本当に落城させるのは、骨が折れる事だろう。 ファイ自身には全く関係ないので、どうでもいい事であるが。 しかし、こう考えると本当にリオンとピアナは似ているところがある。 恋愛を二人ともしたがらない。 恋愛事を遠ざける傾向がある。 まぁ、年老いて子供と孫がいるリオンならば、恋愛事を避けるのも無理はないだろう。 だが、ピアナは未だ十六歳なのだ。 未だ、恋愛を避けるような年齢でも無い。 子供なんて当たり前にいる訳でも無いし、恋心だって人並みにある筈だ。 カレナに一生尽くす、とは言っても彼女には恋愛をする権利だってある。 まさか、本当にレズなんて事は無いだろう。 どうりでカレナの悩みの種になる訳だ。 あそこまで堅物となると、どうにもし難いのだろう。 有難い反面、迷惑でもある。 「まぁ、カレナが思う通りに事は進むだろ」
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