面倒臭いだけのひと。

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根拠のない言葉を呟くと、ゆっくりと起き上がる。 汗だくの為、シャワーを浴びるのだ。 一応、クーラーは完備されている為、シャワーを浴びている間にさっさと部屋を冷やしておく。 一応、これでも日中の気温は三十五度を突破していたのだ。 異常気象も良い所だが、そんな事は分かればそれで良い。 それの理由や原因を探すのは専門家の仕事だ。 ファイ達、学生や一般人の仕事じゃ無い。 当然、シャワーは水。 湯など沸かしていては、体温がいつまでたっても上がったままだ。 これでは夜に寝苦しい。 手早く汗を流すと、次は料理だ。 最近はリオンの訓練が少なくなってきているため、ゆっくりと静かに食事が出来る。 春先の喧騒が懐かしい。 だが、そう簡単に問屋はおろしてはくれない。 料理を器に盛り付け、テーブルに運び終えて、食事始めようと箸を手に持った瞬間だった。 「なんですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 カレナの大絶叫が、寮の内部に木霊した。 この寮、実は男女共同になっており、風呂場、トイレなどは各個人の部屋に備え付けられている。 勿論、それらの故障の際などの為に、大浴場などもきちんと完備されているが。 まぁ、大体の人は自室の風呂で済ませているが。 部屋毎に鍵もついているし、魔術によるピッキング対策もされている。 ある種の安全な空間である。 尤も、ピッキング対策はされていても、物理攻撃には当然、耐性は無い。 一般の強度と同じだ。 部屋の広さも、ワンルームであり、そこまで広くも無い。 そもそも寮にバス、キッチンがある時点でかなり豪勢であるというのに、これ以上何を求めるのだろうか。 防音設備は流石に欲しいと、一瞬思ってしまうファイであるが。 「……またリオン様が余計な事でも言ったかな」
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